りゅうのブログ

グルメ半分、その他半分

野の香り 山の味

入間市のリバーサイドにある山菜と川魚料理のお店に行って来ました。

知る人ぞ知る名店です。

名店という言葉を安売りしない自分も、ここは名店と呼びたい。

 

最近システムが変わって、土日祝はコースのみになってました。

コースは3,500円から1,500円刻みで6,500円まで。

6,500円のみ要予約だそうです。

お昼だったので、軽めの3,500円コースを頼みました。

 

 

9月下旬は落ち鮎ときのこの季節。

こちらは基本自家採集の食材を使っています。

ご夫婦と息子さんの3人で切り盛りされていますが、食材調達はご主人と息子さんの役割。

採集地は主に新潟。

関越で往復されて山に分け入るそうですが、聞くだに相当のハードワーク。

山では熊と鉢合わせもあるそうです。

ということは、ご主人は、そして息子さんも、料理のプロであると同時に川魚ときのこのプロでもあるわけです。

後で書きますが、もう一つのプロでもあり、分野は違いますが、働く者として頭が下がります。

 

さて、コースの流れです。

 

 

お通しはきのこの煮物。

 

 

前菜はきのこたっぷりのモツ煮。

きのこの出汁が効いてて普通のモツ煮とは一味違います。

臭みもぜんぜん無し。

モツもごく柔らかくて食べやすい。

 

 

煮物の次は揚げ物。

きのこ天です。

まず第一陣は釈迦しめじ、きくらげ、ゴーヤ、しし唐、人形茸、桜しめじ。

 

 

第二陣は裏紅布袋しめじ、茗荷、舞茸。

 

しし唐と茗荷は自家栽培で、他はきくらげや舞茸も含めてすべて天然もの。

いや、ゴーヤだけ違ったかな。

でも、八百屋さんから仕入れたものではなかったはずです。

主義としてはそれはない。

裏紅布袋しめじはしめじ類の中ではとびぬけて大きくて食べ応え十分。

他も野趣あふれる味わいで、まさにこちらのお店の真骨頂です。

舞茸は香、味ともに野生なのにどことなく洗練を感じました。

栽培品種化したのも頷けます。

 

 

きのこは焼き物も少し出ました。

これも舞茸が良かった。

さすがと言うか何と言うか。

 

 

 

魚の主役はもちろん鮎。

新潟の清津川産。

もちろん、釣り物です。

大きさは20センチほどで小ぶりですが、小さい分、骨も太くないですから、丸ごと食べられます。

頭からガブッと。

備長炭使用というわけではないですが、ビックリするほどの遠火でじっくり焼き上げるので、水分が適度に飛んで旨味が濃いです。

それと、腸の苦みがね。

鮎の身上です。

 

 

コースの後半になってお造りが出ます。

岩魚の刺身。

微妙にコリっとして、筋肉質のお魚です。

鮎が女性だとすると、こちらは男性ですね。

 

 

女性と言えば、山女魚ですけど、今回はイクラが出ました。

ほんの一口ですが。

貴重な珍味の類です。

 

 

岩魚の残りは揚げてくれます。

骨せんべいですね。

サクサクして美味しい。

 

お食事は焼きおにぎりでした。

そしてお汁にきのこ汁。

きのこのフルコースでした。

 

 

デザートにゆずのジェラート

これも自家製。

 

何から何まで自家製、自家採集、自家栽培。

ポリシーと言うか哲学と言うか。

たかが3,500円のミニコースですけど、ご主人とご一家の精神性を感じるおもてなしでありました。

 

ところで、その精神性は入間の片隅で燻っているわけではなく、全国レベルの評価を受けています。

 

左は息子さんの著書

 

ご主人の第3の活動領域は研究と執筆。

長年にわたって、新潟の川の恵みを利用して生きてきた人々の伝統文化に取材し、その記録を本の形で発表されてきました。

その分野の本を何冊も出版されています。

それが評価され、今年の6月には第24回「水大賞」を受賞されました。

他の受賞者がすべて団体である中、唯一個人での受賞ですから価値があります。

以前からすごい方だとは思っていましたが、今回初めて詳しいお話をうかがって、もう本当にすばらしいお仕事をされてるんで、圧倒されました。

 

あえて店名は書きませんが(画像でわかりますねw)、興味のある方は単なる飲食店主以上のご主人のご活躍ぶりをネットで検索して読んでみてください。

水大賞でわかると思います。