「そば前」に非ず。
「前そば」です。
前記事で紹介したお店に行ってきました。
佳蕎庵@小平市小川町。
「蕎麦、美酒、健肴」をモットーにしている手打ちそばのお店です。
利用目的をあえて書くとデート。
自分的には誕生祝も兼ねるつもりでした。
デートのお相手は長年良い関係を続けているM子。
誕生祝は自分のです。
なので、お得なセットメニューというわけにはいかず、おまかせのコースを予約していきました。
M子は、以前はお酒を多少嗜んだのですが、今はノンアルの人。
お茶で乾杯では格好がつかないので、庵主(店主のことを自分は勝手にこう呼んでますw)に乾杯用のノンアルのシャンパンを頼んでおきました。
自分は乾杯の後は日本酒。
コースとは言え、位置付け的にはそば前ですからね。
ずっとノンアルのシャンパンというわけにはいきません。
まずは十四代。
前菜は定番の焼味噌や板わさを含めて小鉢いろいろ。
地野菜もお店の定番。
次は懐石の常道に従って「椀」です。
これが「前そば」になります。
今回は夏らしく冷やかけを台にした鱧そばでした。
もちろん、鱧は梅肉添えの湯引きです。
そばは青森階上早生二八。
次はお造りで、一品ずつの3品。
宮城の帆立。
これはレモン塩で。
塩はフランス産のゲランデの塩だそうです。
庵主のこだわり、すごいです。
長崎のイサキ。
夏の魚ですね。
鹿児島の鯵。
通年で食卓に上る鯵も夏が旬。
いずれも庵主肝いりのチョイスです。
お酒2合目は而今。
たぶん、次がこの日の実質メインで生牡蠣。
珍しい4年物かな?
LLサイズの実にりっぱな牡蠣でした。
食味も上々。
クリーミーこの上無し。
牡蠣好きのM子さんはすごく喜んでました。
次に玉子焼き。
いつもと違って鰻巻きでした。
土用の丑の日からそう日が経ってないですから、季節感を演出したわけですね。
それとプレミアム感と。
庵主の作るデフォルトの玉子焼きも絶品なんで、それはまたいずれ。
ここで中そばが挟まりました。
鴨のぶっかけ。
鴨はとろけるようなロース。
台は生粉(十割)で、成田夏新。
お酒3合目。
開運の「涼々」。
夏の酒はあまり好きじゃないのですが、これは当たりでした。
クセ無く、さっぱりし過ぎず、適度に芳醇。
天然海老の天ぷら。
甘いです。
添え物の椎茸も普段のとは明らかに違う超肉厚の一品、いや逸品。
ビジュアルはレモンサワー風。
味もごく淡くて、飲みやすい。
和み水代わりにうってつけ。
この後が〆そば。
粗挽き2種。
三芳大地ともう1種はちょっと不明。
いつもはそばの産地と品種を掲げたボードの写真を撮るのに、この日は撮り忘れまして。
慣れ親しんだ仲とは言え、M子の「圧」に負けたか。
そうとしか思えない。
それはともかく、もりで手繰る粗挽きの香と味の濃さは格別です。
江戸そばの洗練とは別種のワイルドな魅力を感じます。
これだけいろいろとお腹に入ると、腹八分目を越えて、九分目ぐらい。
でも、今季初の夏新にお目にかかった日なので、生粉をもりで追加してもらいました。
残念ながら、粗挽きの後だと、せっかくの新そばも色褪せちゃいますね。
プロが組んだオーダーの意味を思い知らされる結果になりました。
デザートは水菓子。
デラウエア+パッションフルーツ+ブルーベリー。
ブルーベリーは地元小平産。
ちなみに、小平は日本で初めてBBの商業栽培に成功した町なんですよ。
庵主には誕生日企画のことは内緒にしてたので、特にそれらしい趣向は無し。
帰りにそっと渡されたM子からのプレゼントはスコッチウイスキーでした。
かなりピート感強めで知られる銘柄のね。
なかなかマニアックな選択。
うれしいですね。
お世辞抜きに美味しいそば、美味しい酒と肴、そして飛び切りの美女。
この幸せはいつまで続くんだろう?
この頃ついそう考えては気弱になってしまいます。
下り坂を歩む男の嘆きです。