久米川の「手繰りや玄治」さん。
片手で数えるほどしかない自分の行きつけのお店の一つです。
北多摩方面のそば店では一頭地を抜く実力店だと思います。
季節感を大事にしているのが一つの特徴。
もう一つの特徴は、女将さんの力も大きいようですが、アーティスティックな趣が随所に感じられるところ。
季節ごとの案内は絵葉書で届きます。
初めてもらった時はビックリしました。
素人芸の域を超えてます。
聞くところによると、女将さんは正規の美術教育を受けた方だそうで、道理で素人じゃないわけです。
毎月のお品書きも女将さんの作。
それを観るのも楽しみです。
葉書はサービス券でもあります。
持参者には一品サービス。
今回は夏野菜のミルフィーユでした。
深めのカクテルグラスにやまいも、トマト、かぼちゃ、モロヘイヤなどを重ねて詰めて酸味のあるジュレで綴じた力作。
ミルフィーユと言うよりプ―スカフェでしょう。
プ―スカフェと説明してもわかりそうもないから、ミルフィーユと命名したんじゃないかな?
このひと品に既に玄治さんのすごさが凝縮されていると言っても過言ではありません。
白赤緑の三段重ね、赤と緑は補色関係。
濃く鮮やかな色彩を上部の置きつつ、色彩が過剰にならないように白を下段に配すバランス感覚。
カラーコーディネートのセオリーを女将さんから伝授されてると思いますよ。
そば店や日本料理店で修業したって、そこまでは習得できないでしょう。
いちいちこの密度でレビューしてたらキリが無いので、以下サラッと。
ランチタイムの訪問でしたが、ビールで乾杯した後、お酒を2合。
1合目は自分の大好きな風の森を。
おつまみはシーズン終盤の稚鮎天から。
鮎は檜のげたの上を群泳しています。
サクッとほろ苦い見事な揚がり具合。
夏バテ防止にニンニクの丸ごと揚げを。
これは東村山産とのこと。
ニンニクって揚げると甘~くなるんですね。
お酒2合目は地元の銘酒、屋守(おくのかみ)。
ヤモリのことですね。
以前はなかなかお目にかかれないレアなお酒でした。
今でも特約店でしか小売りしてないので、自宅で呑むには通販を利用するか、特約店まで買いに行くかしないといけません。
それだけの価値はあるお酒だと思います。
丑の日に鰻を食べそこなったので、鰻巻きを頼んでみました。
そば前最後は鱧の一本揚げ、柚子塩添え。
鱧天も時々食べますが、一本揚げは珍しい。
鰻や穴子で言うめそ級かもしれません。
〆のそばは、夏を味わうためのだちそばと新そばを味わうためのせいろにしました。
玄治さんのすだちそばの良いところは出汁氷がトッピングされてること。
ベースの冷やかけも同じ。
これを手繰らないと夏を越せません。
夏新もけっこうな食味でした。
昔の夏新は微妙に草っぽい風味がして、秋新に一歩二歩譲るような気がしましたが、今はそんな違いはあまり感じなくなりました。
あれやこれやで2人で7千円ちょっと。
お手頃でしょ。
だから玄治詣はやめられない。w
ご馳走様。